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2020年6月19日 (金)

シューマンコンクール1989⑱

[6月19日]マイセンへ行く

 
アルムートが朝早い列車で東ベルリンへ帰るのを見送りに行った。
東ドイツの人々は60才以上にならないと国外へ出られない。
出られることがあっても、それはかなり特別なことのようである。
私たちもまたいつ会えるかどうかわからないが、また是非会いたいと願いながらアルムートと別れた。
彼女は涙ぐんでいた。
 
さて、これからハイン夫人とマイセンまで行くのである。
マイセンはドレスデンから西北へ約20kmのところにあり、ツヴィッカウからは車で約2時間かかる。
Img_7250  
(マイセンの店前)
 
頭の中できんきらきんの豪華な陶器がずらっと並んでいるのを想像していた私は、そのマイセンの店に着いた時、その小ささにすっかり驚いてしまった。
一体どこに陶器があるのかしらと店を見回さなければならないほど品物が少なかった。
  
ハイン夫人が前もって頼んでくれておいたらしく
「この子はシューマンコンクールで2位をとって、賞金でマイセンを買いに来たのですよ」と、まるで母親のように得意げに喋っている。
店長らしき人が「どうぞこちらへ」と事務室に案内してくれた。
  
そこにティーセット一式が置いてあり、「いかがですか?気に入りますか?」ときかれたのだが、たくさんの中から自分の気に入るものを選べるものだとばかり思っていたので私の口からは「他のも見せてください」という言葉が思わず出てしまった。
ところがその”他"はなかったのである。
 
 
Img_7249(店内の展示品)
  
Img_7248
(店内の展示品)
  
店内に飾られている大きな花瓶などは売り物ではなく展示品だということ、そのティーセット一式はわざわざ私のために用意されたものだということがわかった。
東ドイツの人たちにも、マイセンは手に入りにくいものらしい。
高価ということもあるが、ほとんど輸出用で、また輸出される際には2、3倍に値段が上がってしまうらしい。
 
結局私はその店で「私のために用意された全て」を買い込んだ。
ハイン夫人は、あなたは本当にいい買い物をしたわと、満足げであった。
 
Img_7057(ハイン夫人と)
 
こうして私は貴重なマイセンの陶器を手に入れることができたのである。
どれもこれも縁に金がぶ厚くたっぷりと塗られている。
3枚のうちの2枚の皿は東洋的な図柄で、柿右衛門の影響が見られる。
思いも寄らないものが私の手に転がり込んできたという感じだった。
1枚の皿をラング先生にプレゼントすることにして、その他は家族へのお土産となった。
  
つづく

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